奥行き
利休が極小空間の茶室に求めたものは、ひとことで言えば奥行きだと思う。
狭ければ狭いほど壁の存在は近くなり、内部に閉じ込められることによって、むしろ無限の外部が出現し、それとつながることができる。
つまり、壁に無限の奥行きを感じさせることが精神を開放する。
閉じることによって、開く。
侘び寂びは、そのための装置だ。
朽ち果ててゆくことが、時間の方向を示す。
それは創造する行為とは常に逆を向く。
人は生きている限りにおいて、その境界線上に立ち続ける。
今日も、壁の奥行きの向こうにある自然からの恵みを素材として、この空間でひとつのかたちを成そう。
→自社ファクトリーでつくる店舗デザイン空間/グリッドフレーム