映画 ポエトリー アグネスの詩
一人の女子中学生アグネスが橋の上から川へ身を投げた。
初老の女性ミジャは、娘から預かって育てている男子中学生チョンウクの遊び仲間6人グループが数ヶ月間に亘って彼女を輪姦していたことを、グループの他の親たちから知らされる。
だが、少女のように生きてきたミジャは、その事実を正面から受け止めることができない。
町内の文化院で詩の講座に通い始めていたミジャは、同時にアルツハイマーを発症。言葉を生み出し始めると同時に、言葉を失い始める。
ミジャは詩作に没頭する。傍からは、孫たちの起こした事件や、その慰謝料や、自身を侵していくアルツハイマーのことよりも、詩作を優先するかのように見える。
詩を書くことは、現実の中に見えていないものを見いだすこと。
被害者の親にお金だけ払って、さっさとこの事件を終わらせようとする少年グループの親たち。反省を示さない少年たち。そして、美しいものだけを見ようとする自分自身。
言葉を失ってしまう前に、それらの向こうに、何かを見いださねばならない、という気持ちは、やがてミジャの心を埋め尽くすようになる。
とりつかれたように、ミジャは自殺したアグネスの心を追い始める。
橋の上のアグネスが、こちらを振り返って、微かにほほえむ。
ぼくらは、その時初めてアグネスに出会ったのだ。
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