蝉の抜殻
会社への通い道で、蝉の抜殻を探しながら歩く。毎日、1個か2個は見つける。
陽向は、それを怖がって触ることができない。でも、それを見つけたがる。
ついさっきまで、命と不可分のものだった外皮は、命を解き放ち、抜殻となって取り残される。
成虫は、抜殻のことなど忘れてしまっているだろう。残された1ヶ月の命に集中するのみだ。
その外皮とともに過ごした6年にも及ぶ地下生活は、羽化とともに消し去られてしまうのだろうか。
とても精巧につくられた抜殻を見ながら、なぜこのように生きるのか、を想う。
そして、抜殻と死骸の違いはなんだろう、と考え込む。
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