下吉田
富士山の麓、富士吉田市に、地元や外からやってきたクリエイターが集まる場所をつくろう、というコンペに参加した。
今日は提出日。ぎりぎりまで時間がかかって、宅配便に間に合わなかったため、現地まで列車で2時間以上かけて提出してきた。
昨夜はほとんど徹夜で、列車の中で1時間くらい眠れた。気分は悪くない。
富士急の下吉田駅に着いたのが19:20。単線で、無人駅。車掌さんが降りてきて切符を回収する。駅の周辺は真っ暗で、何より寒い。
ずっと前によくやっていた一人旅は、気まぐれに列車を降りたりして、いつもこんな感じだったなあ。なんだか懐かしくなる。
ぼくの中の何かが影を潜め、その代わりに、何かが覚醒する。白い息を吐いては空を見上げて、黒い空に浮かぶ白い雲と同化する息の行方を眺める。
コンペの事務所まで10分歩く。誰もいない事務所には灯りだけが残されて、入口の前に提出用のダンボールが照らされている。
提出書類を箱に入れたら、踵を返して駅へ向かう。帰りの列車は19:50。ゆっくりしている暇はない。
つかの間の一人旅の空気の匂いをぼくは胸いっぱいに吸い込んだ。
→自社ファクトリーでつくる店舗デザイン空間/グリッドフレーム