言葉の力
未来は必ず今よりもよくなる、と無条件に信じている人は今どれくらいいるのだろう?
生まれてからそろそろ半世紀を迎えようとしているぼくらの世代は、概して言えば右肩上がりを自明のことのように感じられる時代背景の中に生まれてきたのだと思う。
ぼくらは、それなりに「いい時代」を経験してきた世代と呼べるだろう。
いつの間にか未来は、今よりも悪くならないようにしたい、と願う対象に変わったような気がする。
たどり着くところまでたどり着いた、ということか?
公害を撒き散らしても、世界は広くて、きっと受容してくれるはず、とみんなが信じていた頃には、現状を分析する必要など大して感じていなかった。
現在では誰もが、分析、分析、分析の毎日だ。
なぜぼくたちはここにいるのか?そして、これからどこへ行くのか?
だが、そこにはたぶん正解がない。
自分の感性が導き出す答えを探すだけだ。
その答えは、正解がないならば、たぶん間違いでもない。
それを、世に問うためには、今、言葉の力が必要とされている、と思う。
なぜぼくたちはここにいるのか?そして、これからどこへ行くのか?
それをできるだけ正確に他人に伝える力が必要とされている、と。
空間をつくることならば、空間だけを人に示しても足りない。
言葉で伝えることが必要だ。
そのことは、ぼくにとって、未来は必ず今よりもよくなる、と信じられるための確固たる一条件に感じられる。
もう「いい時代」は与えられるものではないのだから。
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