GF001のコンセプトノート

店舗内装デザインを手がけるグリッドフレーム001の視点

アラブの世界

巨額な予算がつぎ込まれた空間は、むしろ、ある意味で手を抜かれているように感じることも多い。

 

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ぼくにとってアラブ世界の魅力は、風化した建物と尋常ではないこだわりの幾何学模様とのコントラストにあると思う。

壊れかけた建物でも、ただ単に捨てられたような印象のスペースはほとんど見当たらない。風景のどこかに人間の温度を感じられる何かがある。

このような風景をぼくは美しいと思う。

こんなぼくだから、ドバイアラブ的ゴージャスな高層ビル群には違和感が大きい。モダン建築の要素を取り入れたからといって、この写真にあるような気持のよい風は吹かない、と思う。(写真はモロッコのフェズ)

砂漠の多い地方に育まれたアラブの文化は、時間はすべてを砂へ返していく、という潜在的な認識の上にその対極にある構成的なもののシンボルとして幾何学模様を発展させたように想像される。

だから、アラブ世界にはつくられたときのまま時間が止まってしまうような空間は似合わない、と感じてしまう。

アラブに限ったことではないが、巨額な予算がつぎ込まれた空間は、むしろ、ある意味で手を抜かれているように感じることも多い。

それは、暗黙のうちに、時間が止まってしまうような空間をつくる、という命題が前提されてしまうからではないだろうか。

ドバイを見ると、アラブ世界でも、それは変わらないように見える。

でも、ぼくは時間について考え抜かれたアラブ世界ならではの巨大建築を夢想してしまう。

 

 

 

 

 

 

001@gridframe • 2015年6月2日


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