GF001のコンセプトノート

店舗内装デザインを手がけるグリッドフレーム001の視点

やらされる

「やらされてる、と思ったら、もうダメ。さっと蓋をしちゃうの。」 これは何十年も作品をつくり続けている、有名なマルチクリエイターと呼ばれている人から出た言葉だ。 創造的であることにこだわる、というレベルではない。創造的でな…

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ソクラテス

ソクラテスがこだわったのは、一対一の関係性である。 アゴラ(広場)で外国人・女性・奴隷に対して、一人ずつに向かい合って問答し、各人が公人でも私人でもない自己であることの自覚を促した。 ソクラテスの問答法は、相手を自己撞着…

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言文一致

本を開いた途端に、閉じてしまいたくなるような文字の姿がある。 ぼくは読むのが極端に遅い人間だ、という自覚があるが、それでも一瞥でぼくの読みたいものかどうかが判断できるときがある。 それは、書かれた文字の姿が美しくないとき…

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体温

空間から体温を感じるか、感じないか? ぼくがそれを感じるのは、「壊れゆくもの」からだ。 だから、きれいにつくられて時間が止まってしまったように感じられるものからは、それを感じない。 そう、時間が流れていることを実感するよ…

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passion

passionとは、キリストの「受難」と、一見それとは無関係に思われる「情熱」という二つの意味を表すという。 語源的には、「受難」の意味に「情熱」という意味が付加されるまでずいぶん長い年月を要したらしく、二つの意味の関係…

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ミヤマクワガタ

飼っていたミヤマクワガタが死んだ。 朝、仰向けに寝ているのを見て、うつぶせにひっくり返したら、すぐにまた仰向けに戻った。 角と前脚は動くが、後ろ脚がほとんど動いていない。何度もうつぶせにするが、踏ん張れる脚がない。 夕方…

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奥行き

利休が極小空間の茶室に求めたものは、ひとことで言えば奥行きだと思う。 狭ければ狭いほど壁の存在は近くなり、内部に閉じ込められることによって、むしろ無限の外部が出現し、それとつながることができる。 つまり、壁に無限の奥行き…

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現実

想像通りの現実などない、と言い切ってもよいと思う。 有限実行し、たまたまその通りの結果を得られたとしても、それは言葉の範囲だけの話で、現実は言葉よりもはるかに複雑で、たかが一人の人間がコントロールできるような代物ではない…

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宙に浮いた観念

日曜日にも仕事が入って、幼い子供を児童施設へ預けに行く朝。子供は施設の入口で笑顔でバイバイと手を振る。 その笑顔を仕事への情熱に変換する親。その情熱は信じるに値する。 一方、世界のため、真理のため、などということを組織は…

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抽象化

知るということは、すでに知っていることを発見するということである。いいかえれば、現にすでにやっていることを知ることだ。そうでない知識などはなにものでもない。(柄谷行人『柳田国男試論』p.49) それぞれが知っている過去に…

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予算と素材

プロジェクトの予算は多いに越したことはない。 ただ、予算が十分な場合、クライアントの要求がぼくを困らせることがある。 たとえば、こんなときだ。 大理石張りの空間イメージをクライアントが欲しい、と思っているとする。 ぼくら…

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変えられるもの

あとの世代にとって、明治時代に確立された諸制度は、既成のものとして動かしがたく映っていたとしても、柳田(国男)にとってはつねに変形可能なものでしかなかった(柄谷行人『柳田国男論』p.31) 何を「変えられるもの」と考える…

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人に対する興味

「他者を手段としてのみならず、目的としてあつかえ」 この言葉を反芻する必要もなく、実践している人もたくさんいるだろう。 だが、哲学でこれを語る必要があるのは、他者を手段としてのみあつかってしまう人がいるからだ。 「わたし…

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小さきものたち

人が、小さきものたちを愛らしいと思うのは一般的なことだが、柳田国男が他の人と違うところは、小さきものたちが支えあって生きる世界を実現しようと本気で考えたことにあると思う。 たとえば、祭の巨大化・壮麗化にも反対だった。祭が…

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遠くのものを近くに見る

このタイトルで書くのは2度目だ。 ぼくは、遠くのものを近くに見ている、という感覚を得たとき、認識的にひとつ前進するような気がしている。腑に堕ちる、というのも、そのひとつだろう。 ぼくがずっと読んできた柄谷行人の著作は、お…

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ライフワーク

世界で起こっていることや考えられていることに強い関心を持ったとき、そのことと自分の行動を関連付けるためには、なにが必要なのだろう。 人生にライフワークを持ちたい、と思うだけではライフワークは手に入らない。 生きていく中で…

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親子

今も、親分・子分という言い方が残っているが、それは労働組織を擬似家族的にするものであるかに見える。しかし、実はその逆である。オヤとコは本来、親分と子分の意味であった。父や母は、ウミノオヤ、つまりオヤの一種である。父母をオ…

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通底器

「通底器」という言葉をどこかで見たことがあった。 ぼくは京都で学生だった頃、自動車免許を米子で取った。合宿免許と呼ばれる制度で、2週間ほど旅館で寝泊りをして自動車学校に通うと免許が取れる、というものだった。たぶん、最も安…

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分かりにくいもの

分かりにくいもの、をつくりたい、という想いがある。 ぼくにもよく分からないもの、を。   →自社ファクトリーでつくる店舗デザイン空間/グリッドフレーム →店舗内装デザインを素材とヒトにこだわって/マテリアルス …

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蓄積

個人や自分の属する組織への富の蓄積をしなくなると、人は自由と平等と友愛を一度に獲得できるのだろうか。 それは分からないが、少なくとも過度の富の蓄積は、不自由と不平等と憎悪に帰結することを想像するのは容易だ。  …

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変えられないこと

自分のここがきらいだ、という部分を変えようと努力する。 きっとこの努力をしたことのない人はいないだろう。 そうして、きらいな部分を変えることができた人もいるだろうし、結局は変えられなかった、という人もいるだろう。 その変…

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良心

どうすれば、複数の人でよい空間をつくっていけるか? いくらそのシステムを突き詰めたとしても、どんな人がやってもよい空間ができるわけではない。 「創造性の連鎖」のシステムでいえば、参加する全スタッフに「よい空間をつくろう」…

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交換不可能な生が動き続ける

GFは、優秀なつくり手が辞めてしまったら大変ですね、と言われることがある。もちろんそうだ。 でも、その人がいなければ、この会社は成り立たない、ということであれば、それは真似のできない会社だ、ということだ。 GFの究極の目…

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バウハウス

バウハウスとは、1919年、ドイツ・ヴァイマルに設立された、工芸・写真・デザインなどを含む美術と建築に関する総合的な教育を行った学校、である。(wikipedia) ナチス政権の下で1933年には閉校になり、最後に校長を…

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選択肢

心理学を大学院で学んだ若者がぼくに言った。 「選択肢が増えるほど満足度は減る、ということがいえるようです」 ビジネスの場に当てはめると、つまり、どういうことか? あらゆる道のプロは、いくつかの選択肢を用意してニュートラル…

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匂い

生物は、まず嗅覚と味覚を発達させた。 そして、海中から陸に上がり、霊長類が生まれ、二本足で立ち上がったときに、視界が大きく開けた。この瞬間から、視覚が他の感覚に比べ圧倒的優位にたち、聴覚がこれについてきたそうだ。(参考:…

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統整的理念

構成的理念と統整的理念。 「たとえば、未来社会を設計してそれを実現する。通常、理念と呼ばれているのは、構成的理念ですね。それに対して、統制的理念というのは、けっして実現できないけれども、絶えずそれを目標として、徐々にそれ…

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authentic

たとえば、オーセンティック・バーといわれる店がある。基本的にはスコッチウイスキーを飲むためのバーで、カウンターがメインになっている。バックバーにはボトルが並び、カウンターは木でつくられている。 オーセンティックという言葉…

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軽んじる

もし世界にぼくと誰かの2人しかいなかったら、もう一人の命をぼくが軽んじるなんてことはありえないだろう。 それが、3人になり、4人になり、だんだん増えていったときに、どのくらいの人数になったら、いてもいなくても同じ、という…

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言葉の強度

ある人から、ぼくが書く文章は、「強い」という指摘を受けた。別の人からは、「排除」されているように感じる、と言われた。 いずれも私よりも10歳以上若い世代の人たちだ。 ぼくも気づいてはいたけれど、はっきり言われて、初めて問…

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