GF001のコンセプトノート

店舗内装デザインを手がけるグリッドフレーム001の視点

回り道

最近のジョギングは、決まったコースを反れて、できるだけ初めての道を選んで、くねくねと走るようになった。 ぼくは案外の臆病なのか、面倒くさがりやなのか、決まったコースを何年も行き来してしまうタイプで、変化を好まないところが…

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論理的思考

本当にぼくは、人に伝えたいことがあるのだろうか。 伝えたいことがあるべきだ、と考えているだけではないだろうか。 学生の頃、友人のN君は「自分の内側を全部表現できたら、ノーベル賞をもらえるよね」と言った。 ぼくはそのとき、…

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陰の空間

GFスタッフ005は、奥さんと一緒にアートの展示を毎年行っている。 その作品の中を覗いた写真である。 ぼくはこんな空間を見ると高揚する。   →自社ファクトリーでつくる店舗デザイン空間/グリッドフレーム →店舗…

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震災後

震災後、東北で活動を続けてきた神戸大学の建築の学生が、この春から就職して東京へ出てきている。 今日、約1年ぶりに一緒に飲んだ。 就職しても、社会のためにどのようにあるべきか、という自問を繰り返す彼を、昨年と変わらず、まぶ…

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終わりのないもの

ぼくは、終わりのないものを相手にしているのかもしれない、と思う。 もし、そうだとすれば、ぼくは死ぬまで仕事を続けられる、ということだ。   →自社ファクトリーでつくる店舗デザイン空間/グリッドフレーム →店舗内…

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映画 嫌われ松子の一生

2006年。中島哲也監督。 松子は、高校の教師、ソープ嬢、殺人犯として監獄暮らし、美容師、引きこもり、という順番で人生を辿り、不良少年たちに撲殺されて生涯を終える。外から見ると、ずいぶん振れ幅の大きな人生だが、彼女自身は…

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編集

新しい会社紹介ビデオの編集作業をアルバイトのM君とともに行った。 別々に撮った3人のインタビュー30分を4分以内にまとめる目的だったが、編集作業とは、ほとんど作文作業に等しく、別々の発言を切り取って途中でつなげる、という…

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消える

長時間かけたWEB上での書き込みが、一瞬のクリック後に消えた。 こんなときのやるせなさは、どこにも持って行きようがない。 同じものは二度と書けない。記憶を辿って過去を向くのと、新しい地平を開こうと未来へ向くのとでは、書く…

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勢い

ぼくたちの仕事は、時間をかければよい空間ができる、というものではない。 つねに、ひねり出したアイディアが旬であることが重要で、それが創造性の連鎖を引き起こす条件だからだ。 「今、目の前にあるアイディアをかたちにしたい」と…

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映画 今度は愛妻家

2010年。行定勲監督。 「さくら。どうしてお前死んじゃったの?」 久しぶりに帰ってきた妻に対する夫のこのセリフとともに、この映画の背景は一変する。 今まで活き活きと描かれていた妻(薬師丸博子)が実は夫(豊川悦司)だけに…

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コーヒー

ある特定の食べ物に関して、これがなかったら生きていけない、と思ったことはない。 おいしいものは気持ちに豊かさを与えてくれるが、おいしさを問題とすることは、ぼくにとっては贅沢の部類に属していて、食べ物はもっぱら健康の問題に…

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烏山の接骨院

千歳烏山の接骨院が完成した。マンションのベランダ側を大がかりに改装して、接骨院の入口とした。 外と中のデザインをつなげて、外からは入りやすく、中からは広く感じられる空間になった。 今後、外にも中にもクライアントの手で、グ…

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夕暮れ

  夕暮れ時の林は、ほんの数分間、奥に光と闇を含み込み、表に幹と枝が浮かび上がる。 ぼくはその姿に無限の奥行きを感じて、心は目の前の風景の向こう側をさまよう。 こんな空間をつくりたい。ぼくはいつもそう思っている…

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意味の変容 2013.8

森敦「意味の変容」には、内部/外部という概念が出てくる。 外部の一点は内部の一点に実現される。そして、逆に、内部の一点は外部の一点に実現される。 内部と外部の境界は外部に属するがゆえに、内部は閉じていながら、同時に開いて…

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記憶力

記憶力がとてもよい人に出会った。 その人は、自分があることを考えるときに辿った思考回路をはっきりと覚えていて、その後、何度でも同じ回路を辿ることができるそうだ。 だから、事前に入念にシュミレーションする効果がとても大きい…

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リズム

ぼく自身はリズムを体感する力が未発達だと思う。スローな曲ばかりを好んで聴くのも、それが理由なのだろう。 挑戦したことがほとんどないが、単調なリズム以外のダンスも苦手ではないか、と思っている。 アフリカ人とか、中南米人とか…

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うらぶれた場所

当然のことだが、新しいビルと古いビルとでは、同じスケルトンでも醸し出す空気が全く違う。 古いビルのスケルトンは、現在までの空間の歴史を引きずっている。ぼくに霊感があるわけではないが、過去からの声がたくさん折り重なって聞こ…

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「汚しうる美」への誤解

ぼくが「汚しうる美」という言葉を使い始めてから、20年目に入った。 創設時から、グリッドフレームの制作コンセプトとして「汚しうる美を空間の中に実現すること」を提唱してきた。 だが、「汚しうる美」という言葉は、現在も人々に…

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構成力

柄谷行人の「日本近代文学の起源」は、何かをつくる人間に「つくる」ということがどういうことなのか、を考えさせてくれる優れた本だと思う。もちろん、柄谷行人の本すべてが、そういう面をもっているけれども。 ぼくは、1992年にア…

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風景

「心の中の風景」ということがある。 まさに、風景とは見る人の心とつながっている。 ぼんやりと風景を眺める、という時間をぼくはなによりも好む。 だが、そんな自分に対して、次のような言葉が突き刺さる。 「周囲の外的なものに無…

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波の音

明日は九十九里浜へ行こう。 かつて、毎週末海辺を走った頃の景色が浮かぶ。 キラキラと輝く砂浜を、海鳥の群れも走る。 近所のおばあさんが、訪ねてくる孫のために仕掛けた網を引き上げる。 きっとその格好は100年前と変わらない…

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スピード

ジョギングをしていると、歩道の前を歩く複数の人たちに道を遮られることがよくある。 以前は「ちょっとは気にして避けてくれよ」と、けっこう腹が立ったものだったが、今は、腹を立てるのはおかしい、と反省している。 日本の交通ルー…

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リテラル

リテラルliteral(字義通りの)という言葉は、メタフォリカルmetaphorical(隠喩的な)の反対語で、つまり、「そのまんまやんけ~」といわれるような表現に対して評される言葉だ。 すべての分野において、と言っても…

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ひらめき

「ひらめき」がぼくらの仕事の原点だ。 ネタ帳はない。旬なひらめきでなければ使えないから。 ぼくは大男になったり、蟻になったりしながら、空間を疑似体験する。 原始時代へ飛んだり、江戸時代へ飛んだりしながら・・・。 アフリカ…

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遠いところで

熊本県八代市にエステサロンとカフェをつくることが決まった。 今回は、地元のクライアントだ。東京の会社のチェーン店以外では、関東から離れて仕事をするのは16年目にして初めてだ。 そして、建築の基本構想からやらせていただく初…

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雲と雲の間

「只今より当機は高度を下げていきます」というアナウンスとともに、飛行機は下に広がっている雲の中へと沈んでいく。 それとともに少し機体が揺れ始める。しばらく濃い霧の中のように何も見えなくなった後、また視界が広がる。 さっき…

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レオ

熊本県八代市。 久しぶりにこの土地を訪れた。 30年前に、ぼくの両親が住んでいた土地。 レオという名前の白い犬を飼っていた土地。   ぼくが帰省すると彼は喜んで跳びついてきた。 いや、見知らぬ人が来ても彼は必ず…

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15周年

今日で、グリッドフレームは設立15周年を迎えることができた。 ネットによれば、10年続く会社は1000社の中で63社、20年続く会社は3社だそうだ。15年のぼくらは、その間にいる。 いろんな人に支えていただいたおかげで、…

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びわ

熊本にいる母から、びわが送られてきた。 びわは子供の頃からいちばん好きな果物だ。 その味といい、立ち位置といい、決してメインにならない、さりげなさがいい。 食べても食べても少し足りない感じも好きだ。 びわのような人がいた…

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緊張

相変わらずプロジェクトの提案直前は緊張する。 ぎりぎりまで考え続けるため、提案2~3時間前に根本が覆るときもある。 それでも提案を延ばしていただくわけにはいかないときは、大急ぎで準備する。 大いに焦る。そして、同時にどこ…

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