ひたむき
200ページの論文を持って、アメリカから帰ってきたのはもう19年も前のことになる。
その論文を大量にコピーして、会う人、会う人に、片っ端から配ってまわった。
そして、その内容について、長い時間しゃべりつづけた。
みんなには迷惑だったろう。辛抱強く聞いてくれた人たちに、感謝している。
そのうちに、自分が浮いている存在であることに気づき始めた。
それでも、それはぼくが十分に理解されていないからだ、と思い、また、言葉を重ねた。
どんどんぼくは浮いた存在になっていった。
何かにとりつかれている、と言われた。
それでも、友人たちが出資してくれて、会社を立ち上げた。
それから、16年と半年が過ぎて、今も会社はここにある。
今にして思えば、ひたむきだったからだと思う。
スタッフも全員がひたむきな人間ばかり集まってくれた。
きっと、だから親切な人たちがぼくらに仕事をさせてくれたのだろう。
内容について、本当に評価されるのは、まだ、ようやくこれからだ。
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