GF001のコンセプトノート

店舗内装デザインを手がけるグリッドフレーム001の視点

ウルトラマンとスペシウム光線

スペシウム光線は、単なる技ではない。周囲の環境と自分の心身の状態を総合できるところまで自分が追い詰められた瞬間に、自然に自分から放たれるものだ。

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これから私は自分をウルトラマンに例えるが、それは願望の表れであって決して同一視しているわけではないので、今回だけお許し願いたい。

ここでのタイトルを「アンパンマンとアンパンチ」と書き変えてもほぼ同じ話が書けるだろうが、アンパンマンはよい人過ぎるので、それは息子・陽向に譲ることにした。

ウルトラマンは、「シュワッチ」以外はしゃべらないので、しゃべったらあまりよい印象の人ではないかもしれない。だから、ウルトラマンの方が気が楽なのだ。

で、本題に入る。

ウルトラマンは、登場してから数分間は必ず柔道の立ち技などで闘う。それでも、敵のダメージはほとんどなくて、そのうちに胸のカラータイマーというものがピコンピコンと鳴り始める。これが鳴り始めたら、3分間しか闘うことができない。ウルトラマンは崖っぷち状態に立たされる、ということだ。

そこで必殺技のスペシウム光線を放つ。怪獣野郎はひとたまりもない。多くの場合、倒されてしまう。

以上が、ウルトラマンの言わずと知れた勝利の方程式で、その瞬間「やったー!」などと叫びながらテレビを観たとしても、少し冷静な人ならば、どうして最初からスペシウム光線を使わないの?という疑問を持つことになる。

で、大抵の場合は「それは言わない約束でしょ」的な、大人の事情として闇に葬り去られる。
さて、私は、空間の企画設計を仕事としているが、提案日ぎりぎりにならないとよい案が出てこないことが多い。ほとんど図ったようにぎりぎりで間に合わせるため、周囲には「もっと早く始めてください」などと思われている。

それで、私はウルトラマンになったつもりで、「なぜスペシウム光線はカラータイマーが鳴らないと使わないのか?」と自問してみる。

まず、そこには、大人の事情など全くない、と答えるだろう。私は声を大にして言いたい。

「スペシウム光線は、単なる技ではない。周囲の環境と自分の心身の状態を総合できるところまで自分が追い詰められた瞬間に、自然に自分から放たれるものだ。もちろん、意志は必要だが、必殺技とはいつも好きなときに繰り出せるような代物ではない。バルタン星人に放ったスペシウム光線とレッドキングに放ったスペシウム光線は、傍から見たら同じに見えても、全く違うものなのである!!わかったか!!」
・・・という発言が言い訳にしか聞こえなかったりする。残念ながら、否定する方法はない。だから、黙々と、カラータイマーが鳴り始めてからスペシウム光線を放ち続けるしかない。

「シュワッチ!」

001@gridframe • 2015年5月24日


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