もう一つのリアリティ
例えば、映画や本で拷問のシーンに遭遇すると、鳥肌が立つ。そこで誰かが傷つけられると、自分が傷ついたようにどこかで痛みを感じる。
それは、もう一つのリアルな体験といってもいいかもしれない。
ぼくらがおそらく一生の中で体験しないであろうことが、戦争や暗い事件の中では今も実際に行われているだろう。
多くのアートも、人々にそのような出来事を思い出させるためにつくられてきただろう。
現在では、そのようなものはむしろ溢れかえっていて、ゲームなどの中ではエンターテイメント化すらされているようだ。
エンターテイメント化されたものは、もはやリアリティを失っている。
元々、倫理を確立するために出てきたものが、むしろ倫理を壊すものに変貌している可能性もある。
空間も、もう一つのリアリティをつくりだす媒体のひとつだ。
どこにリアリティとエンターテイメントの境界があるのか、冷静に見極める目が必要だと思う。
→自社ファクトリーでつくる店舗デザイン空間/グリッドフレーム