後半型
マラソンについて、どの本を読んでも、後半型がよい戦法だ、と書いてある。小出義男さんが書いた本には、35km地点でいちばん早く走るように前半を抑えるのがもっともよいタイムにつながる、とある。
ぼくはこれまで、いつも前半型でやってきた。それで、35km地点では、大抵歩いていたと思う。
マラソンの戦法は、人がどのように生きるか、にも似ているところがあると思う。何ごとにおいても、ペース配分を考えず、最初から全力で行くことを潔しとする性格は、たぶんそう簡単には直らないだろう。
けれど、人生全体でいえば、ぼくはすでに後半を走っていることになるけれど、まったく疲労感がない。
これはたぶん、最初から全力を理想としながらも、持ち前の怠惰な性格で、理想どおりに生きることが難しかったことが、逆に功を奏しているのかもしれない。
ぼくは、もっとがんばれたのに、と自分を責める気持ちをどこかに持っているが、今、同時に、これでよいのだ、とも思える。
運がよければ、人生全体では、35km地点を全力でとばすように生きることができるかもしれない。
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