微細な違い
たとえば、誰かにそっくりのロボットをつくるとする。そのときに、誰もがわかるような、その人の大きな特徴(会社員であるとか、お金持ちであるとか、ちょんまげを結っているとか)を書き連ねて、その情報をもとにつくったとしたら、たぶんその人には全く似ていないものができあがるだろう。
けれど、他の人とその人を分かつ、もっと微細な違い(しぐさや自分でも気づいていない癖など)に目を向けてつくったら、きっとその方がよりそっくりのロボットができあがるに違いない。
微細な違いの方がむしろその人自身を表していて、大きな違いはたまたま選び取られたものに過ぎなかったりするからだ。
ある人の空間をつくるときに、ぼくたちが想いを馳せるべきなのは、いつも微細な違いであって、目に見える大きな違いに惑わされてはならない。
そのためには、いつも感性を研ぎ澄まされた状態に保つことが重要だが、自分の感性に対する自信を失った途端に、大きな違いしか目に入らなくなってくる。
誰がやっても変わらない仕事をしてしまうとしたら、そんなときだ。
微細な違いを感じ取り、再現する力。つくる人に求められるのは、そんな力だ。
→自社ファクトリーでつくる店舗デザイン空間/グリッドフレーム