放浪
ぼくは学生の頃、よく海外へひとり旅に出た。けれど、本当の意味での放浪はしたことがない。放浪とは、いつ帰るともわからない旅のことをいうのだろうから。帰りのチケットを持っている旅を放浪とは呼ばない。
きっと放浪はしたくないのだ。ぼくは、一度始めたことを延々と続けるタイプだ。続ける、という意志があるのではない。どちらかといえば、何年も続けてしまっている、と言ったほうが正しい。場所についても、何か外的要因で変える必要がなければ延々とそこに居続けるタイプなのだ。そして、それを、まったく苦にしない。
それと同様に、旅をまったく苦にしないが、たぶんそれは基点があってのことだ。その基点はどこでもよいが、帰る場所がなくなると、急に不安を覚えるようになるに違いない。
→自社ファクトリーでつくる店舗デザイン空間/グリッドフレーム