映画 サラの鍵
2010年。フランス。
1942年、パリでユダヤ人が大量検挙された。そのときに小さな弟を守ろうと彼を納屋に隠して鍵をかけた少女サラ。
「すぐに開けるから」という約束を守るために、収容所を脱走して納屋の鍵を握り締めてパリのアパートへ急ぐが・・・。
結局、家族の中で彼女だけが生き残ることになる。自分が弟を殺した、という思いから彼女は一生逃れられない。
生きる、ということはかくもつらいことなのだろうか。
それでも、新しい生は祝福される。
生を受けて、あるものは早く死に、あるものは長く生きる。
けれども、それぞれの生が輝くことを、ぼくらはひたすら祈るしかない。
暗い納屋で、姉の帰るのを待ちながら、ゆっくりと弱りつつ、死に至った小さな弟の生を想像してみる。
ナチの収容所で子供たちを案じながら死んでいった、父と母の生を想像してみる。
サラと一緒に収容所を逃げ出して、ジフテリアにかかって死んだ女の子の生を想像してみる。
アメリカへ渡って、恋に落ちて結婚しながら、重いうつ病によって自殺したサラの生を想像してみる。
彼らの生と比べて、ぼくらの生は輝いているだろうか。
それでも、新しい生は祝福される。たとえ、どのような状況下にあろうと。
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