映画 ベルリン 天使の詩
天使は、静かな佇まいの中年男で、黒いコートを着て、それに飛べそうにないくらいの小さな羽をつけている。
街の大きな図書館が彼らのホームグラウンドだ。図書館にはいたるところに、かれらが歩き回っていて、彼ら同士ですれ違うときに、そっと目を合わせて挨拶を交わす。
そして、ぼくらには目に見えないけれど、何かネガティブなことを抱えているときに、そっと近寄ってきて、ぼくの頭に彼の頭を静かにつけて、ポジティブなものに変換してくれる手伝いをしてくれる。
生きる希望。それは近くにいる天使がぼくの心の声に耳を傾けることから生まれる。
彼らは言葉であり、生身を持たず、血を流すことがない。
ぼくらは彼らであろうとするが、彼らの中には、逆に生身であることを切望する者がいる。
永遠性から逃れて、一瞬を感じたい、という欲望。
この映画を何度観たことだろう。この映画公開の直後に、ベルリンの壁は崩壊した。
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