映画 今度は愛妻家
2010年。行定勲監督。
「さくら。どうしてお前死んじゃったの?」
久しぶりに帰ってきた妻に対する夫のこのセリフとともに、この映画の背景は一変する。
今まで活き活きと描かれていた妻(薬師丸博子)が実は夫(豊川悦司)だけに見える幽霊だったことに初めて気づかされるのだ。
それまでのバカバカしいほどのドタバタ劇が、急にせつなく、かけがえのないものに見えてくる。
今までこのような映画はたぶん数え切れないくらい撮られてきただろう。でも、ぼくはこんな映画なら何度出会ってもかまわない。
大切なものは失ったときに分かる、というシンプルな法則を知ることは、今、目の前にいる人を大切にしよう、という気持ちにつながる。だが、その気持ちは、残念ながら長続きしない。
またその気持ちを忘れてしまって、また別のこんな映画に出会う。
それを繰り返しながら生きることができれば素敵だ。
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