記憶力
記憶力がとてもよい人に出会った。
その人は、自分があることを考えるときに辿った思考回路をはっきりと覚えていて、その後、何度でも同じ回路を辿ることができるそうだ。
だから、事前に入念にシュミレーションする効果がとても大きい。
ぼくとは逆である。
ぼくはそこまで記憶力がよくない。だから、あることを考えるときに一度辿った思考回路を、はっきりと思い出すことができない。
だから、この日記などによって書き留めることにした。
入念にシュミレーションをしたところで、覚えられないのだから効果が小さい。
同じテーマでものを書いたとしても、思考回路がそのときどきで違うから、全く違った結論に導かれる。なにごとにも、結論というものがない。
そのとき、そのときのぶっつけ本番の勝負を愉しむ。
だが、一度辿ってしまえば結論となる、記憶力のよいその人も、それで問題を終わらせるからこそ、その一回を愉しむ、という。
彼は、先へ先へこれからも進んでいくだろうし、ぼくは同じ問題を何度も何度も考え続けるだろう。
その違いはあるとしても、「今」をいちばん愉しむ、ということにおいて、二人は共通しているのだ。
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