金魚
観賞魚である金魚は、フナの突然変異により橙色のついたものが人為的に選択され、飼育・交配を重ねてつくられた魚である。
つくられた、と書いた。
wikipediaでは、「飼育・交配を重ねた結果生まれた」と書かれている。
このあたりの表現は多くの人が繊細に反応する部分で、生物を「つくる」という概念に対し嫌悪感を抱く人は多い。
まさにこのことが理由で金魚の存在に違和感を抱いている人もいる。
元々は中国が原産地で、皇帝・皇族たちに愛玩されてきたため、文化大革命では大量に虐殺されたという悲惨な歴史を持つ。
選ばれなかったものによる、選ばれたものに向けられた憎悪は大きい。
一方で、第二次世界大戦中の東京では、「金魚のいる家には爆弾が落ちない」という噂が広まり、生きた金魚が手に入りにくい状況の中、陶器でつくられた金魚が飛ぶように売れたそうだ。
現在も、イランなどでは家庭に幸運をもたらす存在としての役割を担っているらしい。
金魚を見ると、その向こうに人間が見える。
その人間をどのように見るかによって、金魚を好きか、嫌いかが分かれるのかもしれない。
ただ、当の金魚にとってはなんの関係のないことで、ただ口をパクパク動かしているだけだ。
→自社ファクトリーでつくる店舗デザイン空間/グリッドフレーム