中央と周縁
ぼくには常に周縁にいたいという欲求がある。
周縁には、中央のシステムの規制が十分に行き届かないところがあり、システムの良い部分を選択的に受け入れられる自由があるからだ。
自分で会社を興すことになろうとは、全く希望も予想もしていなかった。なぜなら、自分で会社を興すということは、自分を中心に置くことに他ならないからだ。
中央に自由がないわけではないが、それは周縁にある自由とは別物である。なにより、自分を中心として周縁ができてしまうことによって、自動的に自由ではなくなってしまうことを避けたかった。
ローマ帝国の力が弱いからこそ、周縁にヴェネツィアのような自由都市が発達したように、ぼくは弱い中央になることをめざした。
そのようにして、自らもヴェネツィアのように自由でありたい、と。
グリッドフレームは、そのようにして生きながらえてきた会社である。
結果として、強い会社になっていたらいい。
→自社ファクトリーでつくる店舗デザイン空間/グリッドフレーム