GF001のコンセプトノート

店舗内装デザインを手がけるグリッドフレーム001の視点

意味の変容 2013.8

森敦「意味の変容」には、内部/外部という概念が出てくる。

外部の一点は内部の一点に実現される。そして、逆に、内部の一点は外部の一点に実現される。

内部と外部の境界は外部に属するがゆえに、内部は閉じていながら、同時に開いている。

また、内部と外部の境界は外部に属するがゆえに、ものの大小は外部からの視点でしかいえず、内部は外部から見てどれほど小さかろうと、内部からの視点では内部は無際限の広さを持っている。

ぼくらはみんな内部にあるはずだが、それは外部からの不当な力がはたらくときでなければ力を発揮しない。

外部からの力と、それに反発する内部からの力の均衡が、仏教でいわれる「空」の境地である。

ゆえに、外部からの力なしには、内部からの力も生じることがなく、境界すら消滅し、ぼくらはただぼんやりと存在することになる。

ぼくらが一般に描く理想郷とは、所詮はそのような世界である。

現世で生きる存在として、ぼくがこの本から与えられた勇気は、計り知れない。

元々この本を読むきっかけは、柄谷行人が強力に推していたからだが、その後、柄谷自身がこの本についてネガティブに書いていたものがあった。その本をぼくはどうしても見つけられないが、「意味の変容」を50回ほど読んで、ぼくにもぼんやりと疑問が生じてきたことがある。

それは、このような構造の内部と外部で本当に全宇宙になるのか、ということだ。

ぼくと絶対に関係することのない、ぼくの内部の一点に実現されない外部の一点がある。

そのような認識が、ぼくにさらに勇気を与えてくれるのか。それは分からないが、ぼくはこれからもこの本を何度も読み返すことになるだろう。

 

自社ファクトリーでつくる店舗デザイン空間/グリッドフレーム

店舗内装デザインを素材とヒトにこだわって/マテリアルス

 

001@gridframe • 2013年8月22日


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