映画 ある子供
バックに流れる音は、いつも都会の喧騒。登場人物に対して、無関心な音の洪水。
若いカップルに子供が生まれた。おめでとう、と言ってくれる人は誰もいない。夫は、貧困の中、盗みで生きてきた。知り合いといえば、その犯罪仲間だけ。
夫は、犯罪仲間によって、赤ん坊を売る、という稼ぐ方法があることを教えられる。まるで、ピザでも注文するように、電話をかけて赤ん坊を売る夫。
何が大切で、何がどうでもいいことなのか。
そのボーダーラインは、社会によって与えられるものでもあるが、彼のように社会から除け者にされている男には、彼自身の規準に従うしかない。
彼は、腹が減ったから、自分の子供を売る。ただ、それだけだ。
貧困。社会からの孤立。そんな状況の中では、想像力も枯渇してしまう。
男が自分の子供を大切にするためには、社会から与えられる規準か、想像力が必要なのかもしれない。
前者にしたがってかろうじて子供を育てている者もいれば、後者によって豊かな家族関係を築ける者もいるだろう。
理想は後者だが、個人に後者のみを期待するのは無理だ。
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