GF001のコンセプトノート

店舗内装デザインを手がけるグリッドフレーム001の視点

グリッドフレームの背後にあるもの

まず、「美しいものをつくりたい」という思いがありました。

ぼくの考えでは、美しいものには二つあります。それは、指一本触れてはならない美しさと、触れても価値を損なうことのない美しさ。つまり、「汚せない美」と「汚しうる美」。

ぼくは、「汚しうる美」に惹き込まれて行きました。それは、例えば、裏通りに見られる美しさ。壁の風化の跡や傷跡など・・・。それは、時間に伴う変化だったり、人間の意図的ではない行動の跡だったり、人間がつくったものではないところに見られます。その美しさは、自ら主張していないために、発見される美しさであり、ぼくがその壁に一対一で向き合うことで成立する美しさです。

なぜぼくは、そんな美しさに惹かれたのか。それは、一対一で向き合える、ということが、すなわち、「自由であること」を意味するからだと思います。なにものにも束縛されない中でしか、一対一の関係は成立しませんから。

そういうわけで、ぼくの「美しいものをつくりたい」は、「自由になれる空間をつくりたい」につながっていきました。

でも、そもそも人間がつくったものではないところに感じられる自由を成立させるためには、どのようにつくっていけばよいのか。

ぼくらは「創造性の連鎖」というコンセプトを立てて、空間をつくっています。それは、一人の意図によって閉じない空間をつくるための方法です。

ある空間をつくるときは、基本設計→詳細設計→工場制作・現場制作という工程の流れで進んでいきます。それぞれの段階で担当者が変わっていくのですが、「創造性の連鎖」の特徴は、設計で全てを決めてしまわないで、<キーワード/文章>と<雰囲気を伝えるパース>が次の担当者へリレーされて、次の担当者は20%程度の決定や変更の自由度を与えられることです。

つまり、つくる人間全員が自分の頭で考えながら一つの空間がつくられていきます。これによって、一人の設計者の意図によって閉じられない、たくさんのつくり手の思いが込められた、エネルギーが高い、多様性のある、そして、よい意味で未完成であり続ける空間ができあがります。

このようにしてつくられた空間は、お店のスタッフやカスタマーにとって一対一で向き合うことでなにかを発見できるような「自由になれる空間」となり、そのことが例えばスタッフの創造性を刺激し、引き渡し後も柔軟に変化していけるお店になります。

実際、弊社がつくらせていただいたお店は、長く続けていただいているお店が著しく多い、という結果が出ています。これからも、お店のスタッフの方々は、時代に合わせて少しずつお店を変化させるのを愉しまれることと思います。

こうして、創造性は無限に連鎖されていく可能性を持っています。

人はだれでも、自分の頭で考えたことをかたちにしていきたい、という願いがあると思います。「創造性の連鎖」はその願いをかなえる方法であり、同時に、サスティナブルな社会をモーチベーションの面から支える空間づくりの方法になりうる、とぼくらは考えています。

そしてなにより、創造的に働く大人はいきいきとしていて、そんな大人たちを見て育つ子供たちが明るい未来を描くことができる社会をつくることに貢献していきたいと、ぼくらは願っています。

 

自社ファクトリーでつくる店舗デザイン空間/グリッドフレーム

店舗内装デザインを素材とヒトにこだわって/マテリアルス

 

001@gridframe • 2013年12月23日


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