蠢く
うごめく、おごめく、むくめく、と読む。どれも、むずむずするような響きだ。
漢字からは、春になり大勢の虫たちがうようよ湧いてくる図が連想され、それは子供の頃のぼくであれば最も苦手とするところのものだったはずだ。
言ってしまえば、死体に群がるウジムシである。
ぼくもどこかで倒れてそれっきり動かなくなれば、蠢く生の母体となる身だ。
そんな図を快く受け止められるはずもないが、生の根源的なイメージとはこの「蠢く」という語に尽きる。
ぼくらはみんなこのような世界からやってきたのだ。
そして、このような世界へ帰っていくのだ。
だから、なにかをリアルだ、と感じられるとき、ぼくらはそこに必ず蠢くものを感じ取っている。
ぼくは、それがないものに価値を認められない。
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