充電された空間
あるものを存在させると、周囲の空間は時間の経過とともにそれを受け入れようとする。
人が慣れるのではない。空間が受け入れるのだ。
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人間は、周囲の環境から目に見えないエネルギーを受け取ったり、吸い取られたりしながら、生きている。
意識的に感じ取れる場合もないわけではないが、ほとんどの人にとっては無意識的にエネルギーのやりとりが行われているだろう。
初めてのお店に入るときなど、その空間が持つ固有の雰囲気によって、新鮮な気持ちになれることがある。
そんなとき、人は無意識的に、空間に何かを発見をしているのだと思う。そうすることによって、きっと空間から目に見えないエネルギーを受け取っているのだ。
一方で、人間はどんなものにも慣れていく。
人生はそう長くもないが、短いともいえない。だから、ほとんどの人生において、日々の生活の中で繰り返し通う空間というものがある。
その空間に慣れることは、悪いことばかりではない。慣れ親しむ、という言葉がネガティブではないように。
だが、だんだんと無意識の発見がなくなってゆき、空間から受け取るエネルギーの量が少なくなっていく。
それがゼロになったとき、人は「飽きた」というのだろう。
そういえば、ぼくは以前、空間について、こう書いたことがあった。
「あるものを存在させると、周囲の空間は時間の経過とともにそれを受け入れようとする。
人が慣れるのではない。空間が受け入れるのだ。」
http://d.hatena.ne.jp/yogosiurubi/20150301
エネルギーは空間の側にある。
あるものを存在させたとき、その存在から放つエネルギーによって、周囲の空間の磁場が変化する。
空間全体のエネルギーが徐々に高まっていくこともある。
理想は、「充電された空間」だ。
毎日そのような状態で人を迎えることができる空間があったなら、人はいつも、高いパフォーマンスを発揮できるだろう。
ぼくらがつくった空間を久しぶりに訪ねたとき、オーナーから「今でも毎日、店に来た瞬間に新しい気持ちになる」と言われたことがある。
それは、ぼくらにとって最高の誉め言葉だ。